ヨノナカ童貞。

食物連鎖の下から2番目

【体験談】"新入社員の"残業100時間超えがどんな状態かを語る

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自殺した電通新入社員についに労災が認定された。かの有名な企業で新入社員が自殺をするという衝撃的な事件だった。

 
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正直、広告業界にて残業100時間超えというのはそんなに珍しいことではない。(それもまあ恐ろしいことだが)  
 
しかし、"新入社員"という前提が入ると話は一気に変わる。
 
 
「なんで、死ぬ前に相談しなかったんだ。」
「なぜ会社をやめる選択をしなかったんだ。」
 
そう思う人は多数大勢いるだろう。
 
だから、新入社員がそれほど働いたときに何を感じ、何を思っていたか。いまの若者の気持ちを自分の体験を交じえて語ろうと思う。
 
大人たちはすでに新入社員の気持ちをとうに忘れているのだろうから。。
 
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・この老害が言っていることは論外。何もわかっちゃいない
 

■新入社員にして残業が100時間を超える心情とは?

 
まだ、そんなに昔の話ではない。
 
僕が初めて残業100時間を超えたのは新入社員時代の2月だった。
 
配属された部署は希望とは全く正反対の部署。仕事のモチベーションに整理がついていない時期。しかも、事業の立ち上げ期であるはずなのに、人的リソースが全く足りていなかった。自分の教育担当を歳がかけ離れている課長がやっていたほどだ。
 
右も左も分からない新入社員だが、配属からはや3-4ヶ月過ぎ、もう「新入社員だから」という言い訳は通用しなくなっていた。
 
しかし、まだまだ経験の浅い新入社員。仕事のやり方もわからないまま、言われるがままにやっていた。
 
残業が増加し始めたのは下期を迎える9月からだった。そこからは右肩上がりに仕事が増え、残業時間のピークだった120時間に到達するまで減ることはなかった。
 
そんな状況下でどんなことが起きたか、まとめてみた。
 

①残業100時間を超えると、自分を責め始める。

メンタル面の問題だ。残業100時間という数字だけでは今回の問題を語りきれない。その裏には、労働時間だけでない、複雑な問題が深く絡み合っている。なぜなら、人間は "普通に" 仕事をしていたらそこまでやる訳がないからだ。
 
つまり、100時間超える裏には、上司という存在が深く関わってくる。一流大学を卒業し、職歴も十分な上司は言葉巧みに残業の責任を部下に擦りつける。
 
「なんでこうやらなかったの?」
「いまの二度手間だから。残業増やしてるのは自分の責任なんじゃないの?」
 
まだ社会経験も浅い新入社員は、「そういうもんなのかな…。」「確かに思い当たる節はあるな…。」と簡単に洗脳されてしまう。
 
この、"悪いことは全部自責してしまう"意識が不幸の始まりになる。
 

②残業100時間を超えると、通勤は何かに寄り掛かっていないと体重を支えられない。

残業100時間を超えると、体力が弱まってくる。残業100時間の状態というのは、9:00始業ということを考えると、平均残業時間は、100時間(残業)÷20日 (営業日)=5h/日なので、17:30(定時)+5時間が退社時間になる。
 
つまり、平均して22:30退社で、家に着くのは23:30を回る頃になる計算だ。
 
そうなってくると身体の限界以上に働いているうえに、運動する時間が全く取れない。休日は専ら"睡眠"という安易な方法で身体の回復に努めようとする。
 
そうした生活を数ヶ月も続けていくと、体力はすぐに目に見えて衰え、一日中仕事をやりきる体力がなくなる。
 
そして、一晩寝ても体力が完全に回復することはなく、週末に近づくにつれ通勤時間に自分の身体を支えることが困難になり、吊り革を持つ腕に頭を預けたり、運良く座ることができたなら、自分の太ももを机に見たてて顔をうずめる。
 
新入社員だからって、若さで乗り切れないことを考えてほしい。
 

③残業100時間を超えると、ミスが増える。

仕事にミスはつきものだ。人間なのだからミスをして当然である。同じミスを二度するなと言われても、反省したところで三度目をすることだって全然ある。
 
新入社員なのだから、普通の状態でもミスをすることはあるのに、9:00始業の時点で、通勤で自分の体重を支えられないほどに疲労をしている。
 
そんな中、次々にくる仕事に対しては全然集中ができない。集中力がないからミスをする。ミスをすると激しく叱責され、心が疲弊していく。自己嫌悪も止まらない。
 
身体だけでなく、心身ともに疲れていく。
 
僕が残業時間100時間を超えた時には、10分に1度のペースでミスをして怒られたことがある。こんなイージーミス、きちんとした環境なら頻発するわけないのに…と思っても、言い訳がましく、「新入社員のくせに」とか思われるのがいやで、反論できずに悔しかったことを覚えている。
 
新入社員は、想像以上に立場が弱いことを考えて欲しい。
 

④残業100時間を超えると、深夜だろうが電話がかかってくる。 

会社を離れるとようやくプライベートな時間だ。やっと心と身体を癒すことができる…ことはない。
 
100時間超えの残業を抱える新入社員は、会社を離れたところで仕事は終わらない。深夜に当たり前のように上司から電話が掛かってくる。深夜にもかかわらず電話がくるということは確実に良い話である訳がない。携帯の電源を切ってやりたい。でも、無視をしたら次の日がくるまで不安な夜を過ごすことになる。電話を取る手が震える。
 
もう、仕事のことを四六時中考えている状態になる。ここまでくると身体に異変が起きてくる。鳴ってもいない携帯のバイブレーションを幻聴したり、常に心拍数が高かったりと。
 
高橋まつりさんは、自身のSNSで「もう4時だ  体が震えるよ…  しぬ  もう無理そう。つかれた」と呟いている。なんとも悲痛な叫びだ。しかし、とても共感する。
 
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ここまでくると、もう正常な判断はできなくなっているだろう。それでも、少なからずSOSサインを出しているはずだと僕は確信している。
 
しかし、周りの大人、友人たちは「若いから大丈夫だよ。」「大げさに言っているだけだろう。」と本気で捉えることはない。そうなってくると、もう相談できる相手がいなくなる。
 
 
そして…
 
 
ぼくの場合は、幸い体制が整い自分に集中していた仕事は徐々に分散され、自身の仕事面、精神面の成長とともに自殺という選択をすることはなかった。
 
しかし、新入社員時代のこの出来事、そして新入社員しか分からない悩みを抱えていた時はとても苦しく、辛かった。
 
日本は、誰でも知っている企業ですらこのような環境下で働いている人がいることを重く受けてほしいと願う。
 
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